今すぐ身に着けるべきブランディングの知識を解説!意味やポイントを紹介
「ブランディングしてみたいけど、やり方がわからない…。」
「ブランディングを行うことでどんな良いことがあるのだろう?」
市場の競争が激化し、商品やサービスを品質や機能性だけで競合他社と差別化するのが難しくなっている中で、自社のブランディングに重きを置き、独自の魅力を伝えることは非常に重要な観点となっています。
しかし、ブランディングを行う際には、正しい手順を踏まないとせっかく自社が持っている強みを顧客に上手く伝えられなかったり、効果的に魅力を訴えられなかったりする可能性があります。
そこでこの記事では、そもそもブランディングとは何か、ブランディングの種類などの基本的な知識に加え、ブランディングのステップやポイントなどについて詳しく解説します。
ブランディングについての体系的な知識を身に着け、実際に活用できるようになりましょう。
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目次
1.ブランディングとは
そもそもブランディングとは何かについて以下の3つの観点から解説します。
- ブランディングの意味・定義
- ブランディングの分類
- マーケティングやプロモーションとの違い
1つずつ解説していきます。
(1)ブランディングの意味・定義
そもそもブランド(brand)の語源は古ノルド語で「焼き印をつける」という意味で、自分の家畜を他の家畜と区別するために焼き印をつけていました。
このような由来から、ブランディングは独自性や付加価値を高めることにより競合との差別化を図ることを指します。
ブランディングと聞くとロゴデザインという認識を持つ人が多いと思いますが、実はロゴデザインなどのビジュアルはブランディングの一部でしかありません。
ブランディングを行い、立ち上げたブランドを通じて顧客に自社の思いやメッセージを伝えることで、信頼感や安心感を顧客に与えることができます。
(2)ブランディングの分類
ブランディングは大きく以下の3つの種類に分けることができます。
インナーブランディング | 社内向けに行われるブランディング。従業員に自社の方針やメッセージを社内に浸透させる役割を持ち、企業の文化を作ったり安定的な企業経営を行ったりするのに役立つ。 |
商品・事業ブランディング | 商品や事業の魅力を伝えるブランディング。消費者をはじめとする顧客に向けて自社ブランドの魅力を発信し、さらなる成長を促す。 |
採用・育成ブランディング | 求職者に向けて自社を選択してもらえるように働きかけるブランディング。採用情報や自社の強みなどを発信することにより、他社との差別化を図り採用力や人材育成を強化する。 |
(3)マーケティングやプロモーションとの違い
ブランディングと混同される言葉として、マーケティングやプロモーションが挙げられます。
マーケティングは企業自身が伝えたいことを発信することにより商品やサービスを販売する仕組みのことを指し、プロモーションは第三者による発信により、販売を促進する活動の一連のことを指します。
これらに対してブランディングは、発信側と受け手側が相互理解できており、価値の認識を図り独自の存在をポジショニングできている状態のことを指します。
2.ブランディングを行う3つのメリット
ブランディングを行うことには、以下の3つのメリットがあります。
- 広告宣伝費を削減できる
- ロイヤルカスタマーの獲得につながる
- 自社を想起してもらいやすくなる
一つずつ解説していきます。
(1)広告宣伝費を削減できる
ブランディングによって企業や商品の認知度を高めることで、広告宣伝にかかる費用の削減が見込めます。
ブランドを確立することで、その認知度を拡大し、自社自体や製品、サービスのイメージを印象を顧客に植え付けることができます。
そうすることで、新たに宣伝活動を行わなくても一定の顧客獲得を見込むことができ、定期的に広告を出す必要がなくなります。
(2)ロイヤルカスタマーの獲得につながる
ブランディングにより顧客をファン化させることができれば、ブランドや企業に対して愛着心と忠誠心を持つようになります。
このような顧客は信頼感や安心感から継続的に自社商品・サービスを利用してくれることが見込まれるため、ブランディングを行うことはロイヤルカスタマーの獲得につながるといえます。
また、一般的にロイヤルカスタマーは購買単価が比較的高いことなどから、さらなる利益の拡大が見込めます。
(3)自社を想起してもらいやすくなる
ブランディングを行うことにより、ブランド再認・ブランド想起を促すことができます。
ブランド再認とは「ブランドの要素に接したときに」ブランドを思い出すことであり、ブランド再生とは「ニーズが発生した際に」ブランドを思い出すことです。
これらによりブランドを思い出してもらいやすくなり、自社や商品の想起の機会が増えることが見込まれます。
3.ブランディングの4つのステップ
ここでは、より効果的なブランドを構築するための4つのステップについて解説します。
- 自社の現状を把握する
- ブランドアイデンティティを設定する
- ブランドを具体化する
- 効果測定
順番に説明していきます。
(1)自社の現状を把握する
まずはじめに、現状にある課題や他社との立ち位置・関係性などを追求・分析したり、市場細分化をしたりすることによって、自社の現状を把握しどのようなブランドを構築すべきなのかを明確にします。
分析の際には以下のようなフレームワークを使用するとよいです。
3C分析 | Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの観点から、市場環境を自社・他社の両方の視点を踏まえたうえで分析するフレームワーク。自社の立ち位置を知り、差別化できるブランディングを形成するのに役立つ。 |
SWOT分析 | Strength(強み)、Weakness(弱み)、Socciety(社会)、Technology(技術)の4つの観点から、企業の内部環境と外部環境の両方を分析するフレームワーク。ブランディングの骨格づくりに役立つ。 |
VRIO分析 | Value(経済的価値)、Rairity(希少性)、Imitability(模倣可能性)、Organization(組織)の4つの観点から企業の内部環境を分析するフレームワーク。組織体制の見直しが期待でき、企業のブランディングに役立つ。 |
(2)ブランドアイデンティティを設定する
ブランドコンセプトが固まったら、ブランドアイデンティティを設定します。
ブランドアイデンティティとは、顧客に持ってもらいたい企業イメージの理想像のことを指します。ブランドアイデンティティを設定する際には、ターゲットにとって自社がどう思われたいのかをできるだけ具体的に考えるようにしましょう。
ブランドアイデンティティの構築は、まずブランドがターゲットに与える価値や約束を言語化したブランドプロポジションの定義から始まります。
ブランドプロポジションとは、ブランドが提供する価値がターゲットに伝わるように言語化したものであり、顧客に伝えたい・訴えたい自社の強みや価値は何かを検討し、それが十分に伝わる言葉を選定することが大切です。
例えば、スターバックスはブランドプロポジションとして「The Third Place(第三の場所)」を掲げています。
そして、ブランドプロポジションをもとに視覚領域(ビジュアルアイデンティティ) と言語領域(バーバルアイデンティティ) を開発するという流れで進みます。
ブランドアイデンティティを設定することで、ブランド戦略に一貫性を持たせられたり、社内にブランドの方向性やイメージが浸透しインナーブランディングにも繋がったりするなどのメリットがあります。
(3)ブランドを具体化する
定めたブランドアイデンティティに従い、ブランドを具体化していきます。
具体的な方法としては、届けるターゲット層に合わせたブランドロゴやブランド名、ブランドカラーを定めたり、タッチポイントを形成するなどを行うことで、思い描いていたブランドを形にしていきます。
この際、以下の2点をどう設計していくかを考えながらブランドを具体化することにより、ブランドとしての統一感や一貫性を出すように心がけましょう。
内容 | 構成要素 | |
ビジュアルアイデンティティ | 視覚を通して企業のブランドメッセージや価値を顧客に伝える要素。 | ・ロゴ、ロゴタイプ
・フォント、タイポグラフィ ・カラーパレット ・グラフィックエレメント ・フォトイメージ ・使用例、NG例など |
バーバルアイデンティティ | ブランドらしさを伝える言葉遣いを構成する要素。 | ・トーンオブボイス
・タグライン ・ブランドストーリー ・ブランドプロミスなど |
また、上記の2つを現場で使えるようにまとめたものをブランドガイドラインといい、ブランドに一貫性を持たせるために活用されます。
(4)効果測定
ブランドを構築したら、ブランディングの効果を測定し改善を繰り返すことを通して、より良いブランドを目指します。
効果測定の際には、ブランドの価値を評価する基準であるブランドエクイティを定めておくとよいです。
ブランドエクイティには、「ブランド認知、ブランド連想、ブランドロイヤリティ、近く品質、その他のブランド資産」という5つの要素があり、これらを顧客へのインタビューやアンケートなどを通して調査していくことが効果的です。
また、ブランドエクイティの具体的な手法としては、NPS(Net Promoter Score)を活用する方法があります。
「あなたがこの企業(製品・サービス)を友人や同僚に勧める可能性はどのくらいか」という質問を消費者に質問し、0(勧めない)〜10(勧める)のスコアを回答してもらうことにより集計します。
高いNPSは顧客満足度が高く良いブランディングができていることを示し、反対に低いNPSはブランディングを見直すことが必要だということを示します。
4.ブランディングを成功させるポイント
ブランディングの手順について説明しましたが、以下のポイントを踏まえてブランディングを行うことで、より効果的なブランドを構築することが見込まれ、ブランディングの成功に近づきます。
- 自社とターゲットの両者の視点に立つ
- ブランドコンセプトを形成し明確に言語化する
- 労力を惜しまない
1つずつ解説していきます。
(1)自社とターゲットの両者の視点に立つ
ターゲットに自己満足にならず、ターゲットとなるユーザーがどのようなブランドをブランドを求めているかを考えながらブランディングを行うことが大切です。
しかし、ブランドをすべてターゲットに合わせてしまうとブランディングの意味を成さなくなってしまうため、企業が顧客にどんなイメージを持ってほしいのかという自社側の目線も忘れないようにすることが大切です。
よって、両者の視点から考えてそのバランスをとることがブランディング成功のポイントといえます。
(2)ブランドコンセプトを形成し明確に言語化する
ブランディングの5つのステップで解説したように、ブランディングを行う際にはやみくもにブランドを作るのではなくはっきりとしたブランドコンセプトを形成することが重要です。
コンセプトを曖昧なイメージで抽象的なものにするのではなく、明文化し具体化することにより、社内やグループ間でどんなブランドを構築していくのかのイメージ共有がしやすくなります。
(3)労力を惜しまない
新たなブランドを形成するにはコストや時間が必要なことに加え、構築したブランドが消費者のもとに届きそれが浸透するまでには時間がかかるため、ブランディングが成功するまでの道のりは長期戦になることが見込まれます。
しかし、ブランディングに成功すれば売上の向上、信頼感の向上などビジネスを進めるうえで有利になるようなメリットがたくさんあります。
よって、ブランディングを行いその効果を得るためには労力を惜しまず、変わりゆく外部環境や市場ニーズには臨機応変に対応し根気強く進めることが大切です。