デザイン思考とは?5つのプロセスやフレームワークについて詳しく解説

「デザイン思考って何?」

「デザイン思考を身に付けるとどんな良いことがあるのだろう?」

近年、流動的に変動する顧客ニーズに適応しながら新たなマーケティング施策や顧客へのアプローチを考えるうえで、デザイン思考という考え方が注目を集めています。

ビジネスフレームワークの一つであるデザイン思考を身に付けることができれば、新しい視点から物事を考えやすくなったり、ユーザーの真のニーズを理解しやすくなったりすることが見込めます。

そこでこの記事では、デザイン思考とは何かや、デザイン思考のプロセスなどのデザイン思考にまつわる基本的な知識に加え、実際にビジネスでどのように活用できるかなどについて詳しく解説していきます。

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1.デザイン思考とは

 

デザイン思考とは、デザイン(設計)のプロセスを活用し、ユーザーのニーズを起点として課題を発見、その解決策を生み出す思考法のことを指します。

デザイン思考の特徴としては、顧客目線で物事を考えることや、先例に囚われることなく先入観を持たず、創造的な思考で自由に発想することなどが挙げられます。

デザイン思考はその名称から、デザインの現場のみで活用される考え方のように捉えられるかもしれませんが、実際にはBtoBからBtoCまで多様なビジネス現場で活用されている考え方です。

2.デザイン思考が注目されている背景

デザイン思考が注目を浴びている背景としては、変動が激しい市場において、デザイン思考による実践的なプロセスを踏んだ柔軟なアプローチが適していることが挙げられます。

現代の市場では数多くのモノやそれにまつわる情報が溢れており、ユーザーのニーズが激しく変動しており、これからニーズがどう変化していくのかの予測が困難とされています。

そのため、データにより仮説を立てることにより予測しそれを順番に検証していく従来のウォーターフォール型のアプローチでは限界があります。

よって、観察や共感によりユーザー目線で発見したニーズが本当に正しいかは分からない不確実な中で仮説を立て、それをプロトタイプにより検証し仮説検証を進化させていくアジャイル的なデザイン思考での柔軟性のあるアプローチが求められているのです。

また、AIの進出やビッグデータの活用により業務の自動化や効率化、単純化がなされる中で、ユーザー目線に立ち顧客の課題の本質を捉え、ニーズを理解することがよりいっそう求められていることもデザイン思考が注目されている背景だといえます。

3.デザイン思考の5つのプロセス

デザイン思考では以下の5つのプロセスを踏みます。

  1. 共感(Empathize)
  2. 定義(Define)
  3. 概念化(Ideate)
  4. 試作(Prototype)
  5. テスト(Test)

順番に解説していきます。

(1)共感(Empathize)

まずはじめに、ユーザー視点で考えるためにユーザーが何に共感しているかを見つけ、ターゲットのニーズを捉えます。

「共感」はデザイン思考の軸となる部分であり、このプロセスを丁寧に踏むことでユーザーの本質的なニーズを理解したうえでアイデアを考えることができます。

また、共感のプロセスを通してユーザーについて深く理解することによって、ユーザーがまだ自覚していない潜在的なニーズも把握できる可能性も高まります。

アンケートや観察によりユーザーのニーズがどこにあるのかを探しますが、表面的な結果だけを鵜呑みにしないことが重要です。

本質的な意見を探る必要があることを念頭に置き、ユーザーの感情や心理的な部分も調査し、客観的に理解することを大切にしましょう。

(2)定義(Define)

「共感」のプロセスを通して得た情報をもとにして、求めるニーズを理解したうえでターゲットが抱える課題や問題点を言語化し定義します。

例えば、ある会社が自社ECサイトをリニューアルする際にユーザーにインタビューを行ったとし、「どこを押せばカートの中身を確認できるかが分かりにくい」「利用できる決済方法の種類が分かりにくい」というような意見が多ければ、サイトのUIや情報の提示方法に問題があると定義することができます。

「定義」のプロセスでは、すぐに結論に至ろうとするのではなく、顧客の心理を深く理解したうえで何回も検討を繰り返したり、疑問点が生じたら「共感」のプロセスに立ち返ったりすることでユーザーの深層心理に即して問題を定義することが重要です。

(3)概念化(Ideate

「概念化」のプロセスでは、先ほど定義した問題の解決策を形にします。

このプロセスでは質よりも量に重きを置くことが重要であるため、ブレーンストーミングやマインドマッピングなどアイデアがたくさん出やすいような思考方法を用いることで、多様なアイデアを得るとよいです。

できるだけ多くのアイデアが出せたら、最後にそれらを集約しまとめていきます。

(4)試作(Prototype)

「試作」では、「概念化」のプロセスで出た案をもとにして、最終的に決まった手法やアイデアを形にし、試作品やサービスを開発します。

ここでははじめから高いクオリティを求めるのではなく、ひとまず試作を行ってみて、そこで生じた問題点や新たな要素に気づき改善し続けることが大切です。

何回も試作を繰り返し改善していくことで、より理想の形に近づけていきましょう。

(5)テスト(Test)

「試作」で最終的に開発したサービスや商品のユーザーテストを実施します。

ユーザーテストを繰り返し使用感や感想などのユーザーの声を聞くことで、開発者だけでは気付かなかった視点に気づいたり、さらなる改善点を見つけたりすることができます。

フィードバックをもとにして改善を繰り返し、提供するサービス商品の質を高めていきましょう。

4.デザイン思考を活用するメリット

デザイン思考を活用するメリットには、以下のようなものが挙げられます。

  • 良いアイデアが生まれやすくなる
  • 多様な考え方を受け入れ活用できる
  • ユーザーの支持を受けやすくなる

一つずつ解説していきます。

(1)良いアイデアが生まれやすくなる

デザイン思考を行うことにより、ユーザーの深層心理に迫って真のニーズをつかめるようになるため、それに答えられる良いアイデアを考えやすくなります。

また、デザイン思考では「共感」や「定義」のプロセスでインタビュー調査や顧客心理を追求するフレームワークでの思考を行い、ユーザーの感情や行動の理由を深く掘り下げて思考するため、根拠の伴った良いアイデアが生まれやすくなります。

(2)多様な考え方を受け入れ活用できる

デザイン思考の過程で説明した通り、デザイン思考のプロセスではたくさんアイデアを出したり試行を繰り返したりするため、多くの意見を取り入れることができます。

特に、「概念化」のプロセスでは、質よりも量を重視しできるだけ多くのアイデアを出し合うため、多様な考え方に出会うきっかけになります。

今までは取り入れてこなかった考え方や発想に出会うきっかけにもなるため、新しい視点を取り入れビジネスに斬新なアイデアを反映することができ、新たな領域を開拓できることも見込めます。

(3)ユーザーの支持を受けやすくなる

デザイン思考ではユーザー視点に立ち、ユーザーが求めるアイデアを具体化し商品やサービスに落とし込んでいくため、できあがったプロダクトの顧客満足度は必然的に高くなり、ユーザーの支持を受けやすくなります。

企業同士の競争が激化し、類似サービス・商品が溢れかえる中で、いかにしてユーザーからの支持を得て他社との差別化を図るかは非常に重要な視点です。

デザイン思考を行うことにより、ターゲット顧客からの支持を得られるサービス・プロダクトの開発を目指しましょう。

5.デザイン思考に関連するフレームワーク

デザイン思考を行う際に活用できるフレームワークの一例として、以下のものをご紹介します。

  • 共感マップ
  • ビジネスモデル・キャンパス
  • カスタマージャーニーマップ

一つずつ解説していきます。

(1)共感マップ

共感マップとはユーザーが置かれている状況について整理し、思考や行動を以下の6項目に従いマッピングし整理するものであり、主に共感のプロセスで活用します。

共感マップはターゲットユーザーの感情を理解するのに役立つフレームワークであり、以下の6つの項目についてペルソナ視点で考えることで、顧客の行動や感情、思考についての理解を深めます。

  • See:見ていること
  • Hear:聞いていること
  • Say and Do:言っていること、行っていること
  • Think and Feel:考えていること、感じていること
  • Pain:痛み、悩み、ストレス
  • Gain:幸福、得られるもの

(2)ビジネスモデル・キャンバス

ビジネスモデル・キャンバスとは、事業において組織内で共通認識を持つのに役立つフレームワークであり、主に「概念化」「試作」「テスト」のプロセスで活用します。

具体的には以下の9つの要素をまとめたものであり、アイデアを具体化し新しいサービスやプロダクトを取り巻く情報を整理することができるため、複雑なビジネスの構造を可視化しビジネスモデルの改善するのに役立ちます。

  • 顧客セグメント(CS:Customer Segments):誰に価値を提供するか
  • 価値提案(VP:Value Propositions):どんな価値を提供するか
  • チャネル(CH:Channels):どのチャネルを通じて提供するか
  • 顧客との関係(CR:Customer Relationships):どんな関係を構築するか
  • 収益の流れ(RS:Revenue Streams):どんな流れでお金を動かすか
  • リソース(KR:Key Resources):価値提供にどんなリソースが必要か
  • 主要活動(KA:Key Activities):価値提供にどんな活動が必要か
  • パートナー(KP:Key Partnerships):替えの効かない協働相手
  • コスト構造(CS:Cost Structure):価値提供に発生するコスト

(3)カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品やサービスの購買に至るまでにどのような過程を踏むかを可視化したものであり、主に「定義」「創造」のプロセスで活用することができます。

消費者の購買行動をその時の感情や接点となるチャネルと合わせて時系列に沿って把握することができるため、それぞれの段階で消費者が抱くであろう課題や悩みを理解しやすくなります。

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