
ブランドガイドラインとは?作り方や事例も併せて解説!
「ブランドガイドラインって何だろう?」
「効果的なブランドガイドラインを作成したい!」
近年、Webサイトやアプリのデザイン、さらには顧客満足度の高い商品やサービスを提供する上で、ブランドの一貫性がますます重要視されています。
そこで欠かせないのが「ブランドガイドライン」です。
しかし、ブランドガイドラインを作成せずにデザインを進めていくと、ブランドの印象が統一されないために、消費者に十分な認知を与えることができず、競争の激しい市場において埋もれてしまうリスクが高まります。
そこでこの記事では、ブランドガイドラインとは何か、その作り方を詳しく解説し、効果的なブランド戦略の構築に役立てる方法について説明します。
目次
1.ブランドガイドラインとは?
ブランドガイドラインとは、企業やブランドがそのアイデンティティを一貫して維持するための指針やルールをまとめたドキュメントのことです。
ブランドの視覚的なデザインやメッセージングを統一し、認知度を高めるために重要な役割を果たします。
例えば、企業のロゴが場面ごとに異なるデザインで使われていたり、広告やSNSでのメッセージのトーンがバラバラだったりすると、ブランドの印象が曖昧になってしまいます。
LINEのブランドガイドラインの事例。変形や装飾などの禁止事項が図示されている。(画像引用元)
ブランドの印象が曖昧になると、消費者に十分な認知を与えることができず、購買意欲の低下や競合他社への流出が発生してしまうため、しっかりとブランドガイドラインを作成することが重要です。
2.ブランドガイドラインの役割とメリット
ブランドガイドラインはデザインやメッセージングに一貫性を持たせる上で重要なことを解説しましたが、ここではどのような役割とメリットがあるのかを3つ解説します。
- ブランドの一貫性や価値を「社内」で統一させる
- ブランドの価値を「社外」へ浸透させる
- 運営の効率化
(1)ブランドの一貫性や価値を「社内」で統一させる
ブランドガイドラインには、企業やブランドの核となる価値観やビジョンが明確に示されていますが、それらを社内で統一することで、社員全員が同じ方向性で行動できるようになります。
例えば、新入社員が入社した際、ブランドガイドラインを共有することで、ブランドの価値やメッセージングを効率よく共有することが可能になります。
また、社内でのマーケティングやデザイン業務においても、統一された方針のもとで意思決定がしやすくなります。
ブランドの方向性を統一することで、企業全体が一貫したメッセージを発信できるようになり、社内のブランディングが強化されます。
(2)ブランドの価値を「社外」へ浸透させる
ブランドガイドラインを活用することで、社外の顧客や取引先、ステークホルダーに対して一貫性のあるメッセージを発信し、ブランドの魅力を効果的に伝えられます。
例えば、広告やキャンペーンなどのあらゆるタッチポイントで企業のロゴが統一されていると、消費者はブランドを瞬時に認識できるため、認知度や競争力が向上します。
一方で、デザインやメッセージが毎回異なると、ブランドの印象が曖昧になり、認知度が低下する可能性があります。
ブランドの一貫性を維持することで、顧客や取引先、ステークホルダーとの信頼関係が強まり、市場での競争力を高めることができます。
(3)運営の効率化
ブランドガイドラインがあることで、デザインやメッセージのルールが明確になり、業務の効率化が図れます。
明確なルールがあることで、デザイン作成やメッセージ発信の際に迷うことが減り、作業時間の短縮や修正の手間削減につながる上、クオリティの安定も実現できます。
例えば、毎回ゼロからデザインやメッセージを考える必要がなく、ガイドラインに沿ったフォーマットを活用することで、作業スピードが向上します。
また、デザインの修正や再確認の手間が減り、コスト削減にもつながります。
ブランドガイドラインを整備することで、業務の効率が上がり、デザインのクオリティ向上やコスト削減につながります。
3.ブランドガイドラインの作り方
では、ブランドガイドラインはどのようにして作っていくのでしょうか。
一般的には以下の5つの手順に沿って作成していきます。
- ブランドの基盤となる要素を明確に定義
- ブランドのビジュアル要素を整理
- 言葉のトーンをメッセージを統一
- 使用ガイドラインを設定
- アクセスしやすい形式でガイドラインを作成
(1)ブランドの基盤となる要素を明確に定義
ここでは、ブランドが目指すビジョンや存在意義、大切にしている価値、ターゲット層を明確にします。
例えばAppleは、「革新」と「シンプル」の価値をもとに、直感的なデザインと先端技術によって革新的な体験を提供するというビジョンで、クリエイティブな層をターゲットに統一感のあるブランド世界観を展開しています。
ブランドの世界観を統一することで、多くの人々の共感を得やすくなり、競合との差別化にもつながります。
(2)ブランドのビジュアル要素を整理
ここでは、明確にしたブランドが目指すビジョンや価値、ターゲット層などをもとに、ブランドのビジュアル要素を整理します。
視覚的な統一感があることで、ブランドを直感的に認識しやすくなり、認知度の向上につながります。
ブランドの視覚的な一貫性を保つため、例えば以下のように明確に定めます。
ロゴ | カラー、縮小した際の制限、配置や加工例などの禁止事項 |
色 | ブランドカラー、カラーコードの指定 |
フォント | 使用フォントの種類、文字間隔、行間のルール |
(3)言葉のトーンとメッセージを統一
ここでは、明確にしたブランドが目指すビジョンや価値、ターゲット層などをもとに、「トーンオブボイス」と呼ばれる言葉のスタイルを決め、フォーマルかカジュアルかなどブランドの個性を統一します。
さらに、ブランドを説明するためのフレーズやスローガンを設定し、メッセージの一貫性を確保します。
そのようにすることで、ブランドのイメージが消費者に伝わりやすくなり、ブランドの印象が強化されます。
トーンオブボイスについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
(4)使用ガイドラインを設定
ここでは、視覚的にブランドの一貫性を保ち、直感的な認識を促すために、使用ルールを定めます。
適用範囲として、SNS、ウェブサイト、パンフレットなどを想定し、不正使用の例(禁止される色の組み合わせや、ロゴの誤った配置方法)も明示します。
適切な使用ルールを定めることで、ブランドの誤った用いられ方を防ぎ、ブランドの価値を維持することができます。
(5)アクセスしやすい形式でガイドラインを作成
ここでは、PDFや専用ウェブページでガイドラインを公開し、誰でも簡単にダウンロード・参照できるようにします。
これにより、関係者が必要なときにスムーズに利用でき、ブランドの一貫性を保ちやすくなります。
ブランドガイドラインは、企業のアイデンティティを守り、長期的なブランディング戦略の基盤となる重要なツールです。
5.ブランドガイドラインの実際の事例
これまで、ブランドガイドラインについて解説してきましたが、実際に多くの企業で活用されており、ここでは成功した3つの企業の例を紹介します。
企業名 | 事例1 | 事例2 | 事例3 |
スターバックス | 緑と黒を中心に、表現力豊かなカラーパレット | 洗練さを感じさせるイラストやデザイン | ロゴの配色例の明記 |
VISA | UI・UXの詳細なビジュアル | 青を基調とした信頼感を感じさせる配色 | シンプルでありながら力強いデザイン |
Spotify | 常にSpotifyブランドを付記する必要 | ロゴの最小サイズの制限 | ロゴのカラーコード |
以上のように成功している企業では、明確なブランドガイドラインを作成しており、一貫性を持たせ、ブランドの魅力を効果的に顧客や取引先、ステークホルダーに伝えています。