
トーンオブボイスとは?ポイントや企業の実例も紹介!
「トーンオブボイスって何?」
「トーンオブボイスは実際にどのように使われているの?」
近年、Webサイトやアプリのデザイン、さらには顧客満足度の高い商品やサービスを提供する上で、ブランドの一貫性がますます重要視されています。
そこで欠かせないのが「トーンオブボイス」です。
しかし、トーンオブボイスについて認知せずにブランディングを進めていくと、ブランドの印象が統一されないために、顧客に十分な認知を与えることができず、競争の激しい市場において埋もれてしまうリスクが高まります。
そこでこの記事では、トーンオブボイスとは何か、作成する際のポイントや実際に企業で使われている例を紹介し、効果的なブランド戦略の構築に役立てる方法について説明します。
目次
1.トーンオブボイスとは?
トーンオブボイスとは、企業やブランドが顧客とコミュニケーションを取る際に使用する一貫した話し方や表現スタイルのことです。
トーンオブボイス(Tone of Voice)は和訳すると、トーン(Tone)は調子、ボイス(Voice)は声のことを意味していますが、単なる「声の調子」だけでなく、メッセージの伝え方や言葉遣い、態度、感情の表現など、コミュニケーションの全体的なスタイルです。
企業やブランドはトーンオブボイスを明確にすることで顧客に統一感のあるブランドの印象を与えることができます。
トーンオブボイスにはいくつかの種類がありますが、主に用いられている5つの種類を紹介します。
トーン | シーン・与えたい印象 | 文章例 |
カジュアルなトーン | SNSなどで、柔らかい表現や絵文字などを用いて、親しみを伝える | 「~の登場をお楽しみに😊」(スターバックス) |
フォーマルなトーン | 公式声明などで、はっきりとして表現を用いて、信頼性を伝える | 「弊社は~しております。」「この度は、~。」 |
心に問いかけるトーン | 広告などで、情熱的な表現を用いて、顧客を高揚させたり、行動を促す | 「JUST DO IT.」(NIKE) |
ユーモアのあるトーン | 広告などで、ユーモアのある表現を用いて、楽しく親しみを与える | 「ドミノピザへの愛のダメだしクーポン」(ドミノピザ) |
ストレートなトーン | POPなどで、簡潔な表現を用いて、直接的な印象を与える | 「軽やかに心地よく生きてゆく。」(ユニクロ) |
2.トーンオブボイスを構築・運用する際のポイントとは?
トーンオブボイスを構築・運用する際の5つのポイントについて解説していきます。
- ブランドの個性に応じた適切なトーンを設定する
- トーンを維持する
- ターゲットに合わせる
- 文脈に応じた調整
- フィードバックや時代の変化に応じた調整
(1)ブランドの個性に応じた適切なトーンを設定する
企業やブランドのパーソナリティ(人格)に応じた適切なトーンにすることで、ブランドの価値観や個性を伝えることができるため、より明確なブランディングが実現します。
ブランドパーソナリティとは、ブランドが人間のような特性や性格をもつとする考え方のことです。
例えば、スマートで洗練されたブランドならば端的で丁寧なトーンを設定し、一方で力強さを重視するブランドならエネルギッシュな表現を用いることで、一貫性のあるコミュニケーションを実現することができます。
こうした一貫性が、ブランドの認知度を高め、顧客に明確な印象を与えることにつながります。
(2)トーンを維持する
いつ、どこであっても、ブランドとトーンオブボイスを維持することを徹底します。
トーンを維持させることで顧客からの信頼感を高めることができます。
一方で、トーンが変わると顧客の混乱を招いたりブランドとしての信頼を失う可能性もあります。
例えば、実店舗ではフォーマルな表現であるのに、SNSではユーモアのある表現であると、顧客はそのブランドがどのようなものであるのかが分からなくなります。
(3)ターゲットに合わせる
若年層向けのブランドであるのか、ビジネス層向けのブランドであるのかなど、ブランドがターゲットとしている層に合わせたトーンオブボイスを設定しましょう。
例えば、若年層にはSNSで絵文字を使ったり、ビジネス層には業界用語を適切に使うなどすることで、ターゲットはそのブランドに親しみを持ちやすくなります。
(4)文脈に応じた調整
トーンオブボイスは、一貫したトーンにすることが重要ですが、時には異なるトーンにするべき場面もあります。
例えば、新商品を発表する際には購買を促すために興奮を誘うような力強いトーンにしますが、カスタマーサポートでは柔らかく丁寧なトーンにするなど調整を行います。
(5)フィードバックや時代の変化に応じた調整
常に社員や顧客などからのフィードバックを受け、必要に応じて調整していくことが重要です。
特に若年層は変化が著しく、新たな言葉や流行語が誕生したり、時間の経過に伴って使われなくなった言葉や時代にそぐわなくなった言葉ができたりすることがあります。
時代遅れのブランドとならないように、常にトレンドを確認し、ブランドの成長や時代の変化に応じてトーンを調整していきましょう。
3.企業の実例
トーンオブボイスは実際に多くの企業で活用されており、実際に成功した3つの企業について解説します。
- au
- Apple
- NIKE
(1)au
auはKDDIの電話サービスブランドで、ソフトバンクやドコモなどと肩を並べる日本の大手企業です。
auブランドは、楽しく遊び心のある未来を目指し、世の中にワクワクする変化を創出しています。
「未来志向」「好奇心/遊び心」「親しみやすさ」「他者への敬意」の4項目の考え方を持っており、「未来志向」であれば、「ポジティブ」「失敗を成功に変える」「挑戦を応援する」などの表現が用いられています。
例えば、「ずっと、もっと、つなぐぞ。」「大阪環状線でもひろがりつづけるau 5G」などのキャッチフレーズは、auの電波を今後も拡大し続けるという、明るい未来を目指した親しみやすいものになっています。
(2)Apple
Appleはアメリカに本社を置くテクノロジー企業で、iPhoneやMacなどの電子機器を開発・販売しています。
Appleは、出会った時よりも良い世界を未来へ渡すことを目指し、世界的に革新的な製品を次々と開発しています。
ブランドの核となる考え方は、謙虚さと誠実さを基本としながらも、常に未来への期待と革新を追求する姿勢を見せ、シンプルでありながらも情熱的なメッセージを発信しています。
例えば、「史上最高のiPhoneです。」という広告や、「その手に大きな可能性を。」「美しさと強さを設計しました。」といった表現で、製品の持つ独自の魅力と革新性をストレートに伝え、消費者の購買意欲を高めています。
(3)NIKE
NIKEはアメリカに本社を置く、スポーツ関連の企業です。
特にスポーツを行う人をターゲットに、スポーツの持つエネルギーと、個々の挑戦を応援する熱い思いが消費者の心を掴んでいます。
NIKEのトーンオブボイスは、シンプルかつパワフルな表現を用いることで、アスリートたちを鼓舞するようなメッセージを発信しています。
例えば、「JUST DO IT.」というスローガンは、夢に向かって一歩踏み出す勇気を与え、スポーツや日々のライフスタイルへの情熱を強く印象づける言葉となっています。